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3度目の正直

 降谷零が組織の残党狩りの最中に、大ケガを負ったという
知らせを受けたのは彼が入院してから2週間以上も経った
あとだった。

 俺に連絡を寄越した人物は、組織壊滅で活躍した探偵少年
工藤新一である。

 薬で小さくなっていたが、明美の妹・志保の開発した薬の
おかげで身体もすっかり元通りになったようだ。



「すみません、連絡が遅くなってしまって…降谷さんからどうしても
 連絡するなって言われてたもので…」
「事情は分かったが、どうして今になって連絡をしてきたんだ?」
「えっと…来週退院することが決まったんです!あと、やっぱり
 降谷さん元気がないしまだ腕も本調子じゃなくて」



 なるほど…恋人であるあなたがお見舞いに来てくれたら元気を
取り戻すんじゃないかと思ったんですが、やっぱり余計なお世話
でしたかね?と坊やは気まずそうに呟く。

 いや、連絡してくれてありがとう。すぐにでも飛んで行きたいが
組織の後処理も残っているからな、また連絡する。と優しい口調で
赤井が伝えると彼は心底安堵してる様子だった。

 逆に降谷くんには俺が日本に行くことを黙っていてくれないか?と
お願いすると快く承諾してくれた。

 彼は、俺が未だに「坊や」と呼ぶことに慣れないらしく僕はもう
小学生じゃありませんと囁く声色で照れているのが良く分かる。

 そういうところがまだ坊やの証拠さ、と言いたい所だがそれは
あえて心にしまっておこう。



「ジョディ、降谷くんが任務中にケガをしたらしい。今の案件の
 後処理を3日で済ませたいから手伝ってくれないか?」
「零が!?大丈夫なの」
「あぁ、来週には退院できるそうだ」



 全く…元カノに頼む仕事じゃないと思うんだけどと冷ややかな視線
が突き刺さり思わず済まないと謝るはめに。

 冗談よ、零には随分とお世話になったものね!と午後から出勤して
きたキャメルにも声をかけるジョディ。



「その代わり、お土産宜しくね♪」
「……善処する」



 そういえばこういう奴だったな…と赤井はジョディの性格を改めて
再認識する。

 零としばらく連絡を取っていなかったことは事実だが、まさかケガ
をしているとは思ってもいなかった。

 優秀すぎる恋人もたまにキズだなと頭を抱える赤井であった。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 残務処理を終えて日本の空港に着いた赤井は、新一から聞いていた
病院の地図を頼りにその場所へ直行することに。

 さすがに本名で入院しているであろうと「降谷」の名前で受付に
確認したが、彼はやはり用心深いらしく「安室」の名前で個室の
部屋に隠れていた。

 数回ノックしたあと、部下が来たと勘違いしている降谷は「入れ」
と命令口調で静かに合図する。



「やぁ、降谷くん。また派手にやったな」



 零は、何でお前がここにいるんだと言わんばかりに驚愕の表情を
見せたがすぐにいつもの調子を取り戻す。

 新一君ですね?とぶっきらぼうに吐き捨てる恋人に、彼を責めて
くれるな。本当に君を心配して連絡を寄越してくれたんだからと
落ち着いて降谷を宥める。

 分かってますよ…とベッドに顔を沈めた零の耳はこちらまで伝染
しそうなほど真っ赤に染まっていた。

 机の周りには、果物やクッキーなどたくさんの警察関係者がここを
訪れたのであろう形跡が多々残っている。



「降谷君、1週間ほど日本にいる予定だ。その間はずっと君の家で
 お世話になることにする」
「え、はぁ!?聞いてな…」
「あぁ、正確にはお世話になるじゃなくてお世話する方だが」



 にやりと含み笑いをされて、言葉に詰まった恋人はだからお前には
知らせたくなかったんだと増々頬を膨らさせてしまう。

 君の方こそ恋人に対してひどくないか?連絡を受けた時の俺の心臓の
負担も考えてくれと静かに囁いた。

 それは…本当に悪かったと思ってます…と泣きそうな声で言うもの
だから思わず顎を引いて口唇を奪う赤井。



「あかっ、ここは病院だぞ!」
「つれないな。半年ぶりだろう?」
「っ…馬鹿、気障男!!」



 赤井だって大部屋ならば手は出さないが、ここは個室だ。我慢しろ
という方が無理な話である。

 すっかり機嫌を損ねてしまったお姫様のために、一緒にリンゴでも
食べようかと持ち掛けた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 


 坊やの言った通り、降谷の腕は完全に完治しておらずまだ高い
場所の物を取ったり素早く動かせない様子だった。

 まぁ、無理もない。部下をかばったせいで腕に直接弾丸を2発
も浴びれば俺ですらこんな状態になるだろう。

 動ける範囲で優秀な恋人は、食器を洗ったり洗濯物を洗ったり
と家に帰宅した途端、テキパキ動き始めた。



「零、今日の夕飯のリクエストは?」
「……シチューが食べたい」



 滅多に甘えてこない彼がこんな柔らかい態度を取るのが、自分の
前でだけだと思うと至福の瞬間というものはこういう感じなのだ
ろうかと赤井は考えた。

 赤井?どうかしました?と不安そうに顔を覗き込んでくる零に
もう1度キスを送る。

 お、お前はっ!外じゃなかったらどこでも盛るのか!!と凄い
勢いで身体を突き放された。

 そう照れるな、俺はシチューの材料を買ってくるから零くんは
ゆっくりしていろとだけ伝えると赤井は部屋を出ていく。

 1人部屋に残された降谷は、久しぶりに会った恋人と過ごす時間が
恥ずかしくて途方もなく立ち尽くす。



「赤井の馬鹿…」




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 夕方帰宅した俺を待っていたのは、降谷が近所のパン屋で購入した
であろう高級なフランスパンだった。

 無理をするなと言ったはずだが?と強い口調で咎めると、歩くだけ
ですから大丈夫ですよと苦笑いされる。
 
 その後、赤井が2時間かけて作った具だくさんのビーフシチューを
2人で平らげたあとは、ゆっくりとテレビ鑑賞をすることに。

 他愛もない話をするのは本当に久しぶりで、お互いの心が徐々に
満たされていくのが分かる。



「零くん、風呂が沸いたぞ。早く温まると良い」
「あ、はい」



 何か困ったことがあればすぐ呼んでくれと告げる赤井に、降谷は
一瞬だけ立ち止まりこちらを振り返る。

 顔が赤い零の頬を撫でながらどうした、傷が痛むのか?と聞くと
赤井は入らないんですか?と呟かれた。

 予想外のお誘いに言葉を失う俺を見た降谷は、すみませんやっぱり
1人で入りますね!とバスルームに駆け込んだ。

 半年ぶりの逢瀬だからだろうか…彼も思考能力が低下しているの
かもしれない…でなければ照れ屋の彼がそんなこと間違っても俺に
言ってくるわけがない。



「零、大丈夫か?」
「だっ、大丈夫ですからほっといて下さい!」



 扉を開けると、やはり腕が上がらないせいか衣服を脱げないまま
その場に立ち尽くしていた。

 こういう時くらい甘えてくれ、俺が脱がすのを手伝おうと服を
掴むと思いっきり振り払われる。

 あ、いや、えっと、すみません!本当に大丈夫だから…赤井は
テレビでも見てて下さいと彼は頑なに視線を合わそうとしない。

 痺れを切らした赤井は、微かな理性だけを残しつつ降谷の腰を
掴み口を塞いだ。



「んぅ、ふ…っ、あか…」
「ん、ふ…っ」



 そのままジャージを剝ぎ棄てると、今はもうすっかり性感帯に
なっているはずの胸の突起を愛撫する。

 いきなり俺がかぶりついたことに驚いた零は、一瞬だけ身体を
震わせた。

 耳や首筋に吸いつきながら、自身のシャツも脱ぎ取った赤井は
俺をそのまま抱えてバスルームへと飛び込む。



「待って、あか…それ、やだぁっ…」
「悪いがもう待てない、君が可愛すぎる」



 下着をあっという間に降ろされた降谷は、ケガをしているせいか
いつもより力が入らない。

 自身のものを性急に口に咥えられた零は、羞恥のあまり赤井の頭を
強く殴ってしまう。

 それでも一向にやめる気配のない赤井に観念したのか、ケガの
せいで動けないのかしばらくすると大人しくなった。



「ん、やめて…あ、もう…イク、やだ…あっ、あああっ!」
「はぁっ、ふぅ…」



 まだ昂ぶりの収まらない赤井は、俺の右足を肩に乗せ自身の指を
ゆっくりと挿入してきた。

 待って、今イッたばっかり…やだ!と抵抗する零だったが、赤井は
俺に黙っていた罰だと言いそのまま行為を続行し続けた。






ギッ…ギッ…ギシッ…






 風呂場で2回もいった降谷の身体の負担を考えて、ベッドに移った
赤井の行為は先程とは違いドロドロに甘かった。

 俺の身体中を舐めまわす赤井の下に翻弄され過ぎた降谷は、もう
何も考えられなくなっている。



「ん…もう無理っ…あか…ごめんなさ…」
「まだだ。君が本当に反省するまで何度でも分からせてやる」
「はぁっ…あ…ひゃ!?やっ、待って早…ああっ、やだぁ」




ギッ、ギッ、ギシッ!ギシッ!



 俺の腕を押さえ込まないように、ギリギリの所で突き上げてくる
快感の波に溺れる降谷。

 もう何度目の絶頂だろうか…俺はいつの間にか意識を失っていた。






「やりすぎだ、馬鹿」
「今回はケガのことを黙っていた君が悪い」



 事実を言われ、言葉が返せない零は痛む腰をさすりながら静かに
起き上がる。

 だって、あなただってきっと同じことをしたでしょう?と罰が
悪そうに吐露した。

 そうかもしれないが、今の俺と君では住んでいる場所が余りにも
離れすぎてるからなと赤井も頭をかきながら呟く。

 明日の朝は、俺が朝食を作るからそれで今日のことは許してくれ
ないかと赤井は言った。



「もっ、もういいです…」
「零」
「……何ですか」
「照れている顔が見たいんだが…」
「悪趣味だぞ、赤井!!」



 振り返って怒鳴る降谷の口唇を再び塞いだ赤井は、落ち着いていた
熱が再び燻ぶってくるのを感じた。

 零、もう1度だけいいか?と耳元で囁かれた俺は一瞬で首元まで
真っ赤になってしまう。

 これが惚れた弱みというやつだろうか…降谷も負けじと言い返す。



「うん…来て赤井……僕もまだ全然足りない」



 どこでそんなセリフを覚えてくるんだか…赤井は彼と同じくらい
染まっているだろう頬を隠して再び愛しい恋人に覆い被さった。



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